オランダの農業事情
アメリカに次ぐ世界第2位の農業生産物輸出国として知られるオランダ。経済全体の9.4%(05年実績)を占める農業活動の中心は酪農及び園芸で、65万人以上(05年実績)が農業に従事しています。農産物の輸出先のほとんどはEU圏内で、ドイツがその最大の市場です。質の高い農業教育、そして一流の研究結果および実践的なアドバイスを農家に供給する効率的なシステムを背景に、オランダ農業の生産性は、ここ数十年の間に飛躍的に成長してきました。しかし、数を競う「生産量の増加」を優先事項にしてきたのは過去のこと。現在、オランダが最優先事項として考えているのは、環境、動物福利衛生、そして生産物の品質の向上です。
オランダの農業に関する最新の数値
Facts and Figures of the Dutch Agri-sector
耕作農業の多様化
EUの農業政策における変革により、穀物、砂糖および片栗粉の保証価格は徐々に廃止されつつあります。その結果、より競争性の高い市場になり、耕作農業は大きな変革に直面。世界の農業事情に違わず、耕地農家の一様性は失われつつあり、ますます多様化に向かっています。耕作農家の中には、殖産用に家畜数を増やしたり、園芸事業に力を注ぐ農家も出てきました。また、レクリエーション施設や生産物の直接販売など、副業を開発する農家や、根強いニーズのある有機農業に切り替える農家もあります。
有機農業の奨励
化学合成の農薬および肥料をほとんど使用せずに農産物を生産する有機農家。その生産性はけして高いとは言えませんが、オランダの消費者の30%が定期的に有機農産物を購入するなど、有機生産物に対する市場からの要望は急速に増えています。このような傾向を敏感に感じとっている大手の食品小売業者も、有機農産物に興味を持ち始めました。大手のオランダ最大のスーパーマーケット・チェーン、アルバート・へインは、今後10年以内に、化学合成物質農薬が使用されている食物の販売を中止することを計画しています。
廃棄物の削減
ここ数十年間、園芸事業は生産高および園芸農地の両方において拡大してきました。主な製品は、花、野菜、果物、キノコ、樹木および球根です。いかに環境目標を実現させるかという政府との約束で、現在、温室栽培農家は多額の環境投資をしています。その目標とは、化学肥料・農薬および化学合成土壌改良剤の使用を削減し、それに伴う廃棄物の発生を削減すること。オランダでは、多くの農家が、害虫および疾病から生産物を守るために、農薬の代わりに天敵を使用しています。また、温室栽培農家は、この政府との契約に基づき、エネルギーのより効率的な利用を前提とした二酸化炭素の排出削減にも力を入れています。
再熱する集約農業論争
オランダの主要な畜産業は、酪農です。1984年、EUは牛乳生産量の割当てという形で乳製品生産の制限を導入。酪農家には、乳牛頭数を減らしながらも同量の牛乳生産ができるような効率的な生産方法を奨励しました。放牧される乳牛の飼育の他に、多くの農家が、特に豚や鶏といった他の家畜を屋舎で集中的に飼育しています。このようにして生産された豚肉、鶏肉および鶏卵のほとんどは輸出されます。2003年、養鶏場で発生した鳥インフルエンザは、以前発生した口蹄疫および豚コレラに続いて、オランダの集約農業に関する論争を再燃させました。議論は広範囲に渡り、動物の疾病およびその制御を超えて、公衆衛生、動物衛生管理、環境、農地および家畜取引関係にまで及んでいます。また、農家とその家族の立場、将来の見通しも議論の的となっています。
漁業および漁獲量割当
オランダ漁業の2大部門は、遠洋および沿岸漁業です。その他に貝類の養殖および魚類養殖、内水面漁業があります。海洋および沿岸漁業は、最新式カッターおよび冷蔵トロール漁船の船団で実施。カッターはシタビラメ、アカガレイ、タラ、コダラ、ニシンおよび小エビを捕獲しています。取引が多いのは、シタビラメやアカガレイといったヒラメ・カレイの類です。また、トロール漁船はニシン、サバやアジを捕獲しています。また、貝類の養殖も重要で、主にゼーラント(オランダ南西地方)や、ワッデンゼー(オランダ北西の内海)で行われています。
EU の漁業政策に基づき、各加盟国の漁獲量は毎年、生物学者のアドバイスに従って欧州委員会によって決定されます。その目的は、魚類資源を確保し、絶やさないための生態的生存必要最低数以上に維持すること。過去数年間、持続可能な漁業の推進のために、多くの努力がなされてきています。捕獲網の改造で過度な漁獲(乱獲)を防ぎ、電気刺激漁獲方法で魚を網の中に追い込むことによって海底に与える障害を少なくするなどがその一例です。
アグリビジネス
農業全般におよぶ「アグリビジネス」は、オランダにおける非常に重要な産業部門と言えます。このアグリビジネスは、食料、酒類、タバコおよび食料以外の農産物の生産と共に、農業に関連するあらゆる商業およびサービスを包含します。具体的なところでは、食肉処理および食肉加工、酪農、動物用飼料の生産、タバコ産業および飲料産業。オランダの農業および園芸事業の生産物の半分以上は、食品、飲料およびタバコ産業にて加工されます。